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【IPSI-10】山岳地域の保全をテーマとしたパブリックフォーラムがIPSI-10期間中に開催され、世界中から多様な意見が集まりました
2026.03.30



By Fausto Sarmiento1 and Alden Yépez2
1Neotropical Montology Collaboratory, University of Georgia (UGA)
2Archeology of Water and Glaciers Lab, Pontifical Catholic University of Ecuador (PUCE)
2026年3月4日、エクアドル、リオバンバにあるチンボラソ県工科大学(ESPOCH)において、「山岳地域の保全と持続可能なエコツーリズム」をテーマに、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ第10回定例会合(IPSI-10)のパブリックフォーラムが開催されました。
本フォーラムには、地元の専門家、ESPOCHの教職員や学生、リオバンバ市民など、幅広い参加者が会場およびオンラインで集まりました。Fausto Sarmiento氏(ジョージア大学教授)とSuneetha Subramanian氏(UNU-IAS/IPSI事務局/リサーチャー)による基調講演では、社会生態学的生産ランドスケープ・シースケープ(SEPLS)におけるSDGsを強化するための概念的枠組みとして、モントロジー、生物文化遺産、再生型開発が紹介されました。
3つの全体セッションでは、21名の発表者がそれぞれ発表を行い、その後、聴衆との議論が行われました。多様な視点は、学際的な対話への強固なコミットメントを反映したものでした。さらにIPSIメンバーの活動を紹介するポスターセッションも平行して開催され充実した内容となりました。
Ana María Varea氏(元国連開発計画(UNDP)エクアドル事務所)は、違法採掘や環境省とエネルギー鉱山省の統合について懸念される問題を取り上げました。Carlos Jara氏(ESPOCH自然資源学部長)は、ヤンボ湖の環境悪化と、その水質回復に向けた取り組みが不十分である現状について述べました。Alejandro Aguayo氏(チンボラソ野生生物保護区/RPFCH)は、チンボラソ保護区について、先祖代々の社会文化的遺産が認識されずにユネスコの暫定リストへの自然遺産候補として提案される予定であるという現状を共有しました。
Luis Suárez氏(元コンサーベーション・インターナショナル・エクアドル所長)は、エクアドルにおけるこれまでの協調融資による森林保全プログラムの有用性を振り返り、現状のインセンティブの欠如に疑問を呈しました。Chadley Hollas氏(ジョージア大学、研究者 (エコツーリズム及び不安定性))は、山岳地帯における農村の不安定性に対するエコツーリズムの可能性について考察しました。Jaime López氏(サン・フランシスコ・デ・キト大学、教授)は、ガラパゴスをSEPLSの枠組みへ移行させる上での課題を概説し、Patricio Mena氏(ECOCIENCIA NGO、アンデス研究者)は、パラモ(高地湿原)保全に関して現在行われている環境教育について言及しました。Alejandra Razo氏(Sumak Kawsay生息域内研究センター、研究コーディネーター)は、アンデス山脈の麓における生物多様性保全の重要性を強調し、Mordecai Ogada氏(コンサベーション・ソリューションズ・アフリカ、事務局長)は、アフリカにおける地続きの経験を共有しました。
さらに、実践と文化的継承に根ざした発表も行われました。Renato Chávez氏(ESPOCH教授)は、Qhapak Ñan(アンデス道路網)沿いの薬用植物の収集について紹介し、Olmedo Cayambe氏(RPFCH先住民コミュニティ代表)は、チンボラソ山における先住民コミュニティの強化についての成果を共有しました。Alden Yépez氏(PUCE教授)は、氷圏の影響下にある区域の画定は、加速する氷河後退によって生じる資源採掘の圧力に先んじて対応するための依然として有効な実行可能な戦略であると指摘しました Juan Manuel Carrión 氏(チャールズ・ダーウィン財団、科学イラストレーター)は、芸術とは私たちを科学や意識へと導く直感であると強調しました。César Cotacachi氏(先住民環境問題活動リーダー、Imbakucha Sacred LandscapeおよびImbabura Global GeoPark)は、Imbabura山の文化的グラデーションと、そこに住む人々の先祖代々の精神性について語りました。持続可能性実現における保全活動についての発表としては、Jack Rodríguez氏(Ecosustainable Ecuadorian Amazon Foundation、事務局長)による生態系への負荷を軽減するための畜産についての発表、また、Sidney Eigeman氏(UGA 研究員)によるZuñacタウンにおける水文学調査についての発表、さらに、チンボラソのエコツーリズム・プロジェクトについての発表をAlex Gavilanez氏(ESPOCH 教授)と Danny Castillo氏(ESPOCH 教授)が行いました。
Kichwa-Puruwa民族のNathaly Pilamunga氏(PuruwaWomen for Environmental Communication)は、Dolores Cacuangoの次のような言葉を引用しました。「私たちは引き抜かれてもまた生えてくるパラモの藁のようなものです……そして、そのパラモの藁で私たちは世界に種を蒔くのです」。このレジリエンスについてのメッセージに応え、 Chen-Fa Wu氏(国立中興大学教授)とEngin Yilmaz氏(Yolda Initiative、事務局長)の両氏は、持続可能性を国際的な課題として位置づけるため、粘り強い取り組みが果たす役割について語りました。
本フォーラム後、IPSIのメンバーはそれぞれチンボラソ山保護区やグアノの文化村を訪れました。この視察を通し、参加者はチンボラソ山の麓に一つの種を蒔いたと感じることができました。これは、山岳学の知的遺産と、このSATOYAMAイニシアティブの南米での会議の成功を将来に伝える記憶となるはずです。